舌癒着症の手術

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横浜のアロマセラピストnicoです。子どもの発達を支援するセラピストを目指してただいま勉強中。50歳を過ぎてもまだまだ成長途中です。子育てをする中で感じたこと、勉強して知ったことを見聞録的に綴っています。
息が止まった!?
快適そのものだった助産院での入院生活もほどなく終わりを迎え、自宅に戻りました。 里帰り出産ではなかったので、退院したその日に実母が手伝いに来てくれました。 私をなるべく休ませようと、昼間は母が息子を見てくれて、私はなるべく横になるようにしていたのですが、母が2回ほど「ちょっと来て! 今、この子、息が止まった!」と言うのです。 「そんなことあるわけないでしょ」と言ったのですが、母は「いや、絶対止まった!」と気にして、息子を注意深くみてくれていました。 最近助産師の友人から聞いたのですが、生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ呼吸が整わないので、時々呼吸をするのを忘れることがあるそうです。 知らなかった・・・
初めての育児は倒れそうなくらい大変でした
10日ほどして母は帰って行きました。
親離れの早かった私は、それまで親と別れて淋しいと思ったことはなかったのですが、さすがにこれから一人で赤ちゃんをお世話していくと思うと、生まれて初めて「帰らないで・・・







息子の苦しさ
初めての子どもで他の赤ちゃんと比べようもなかったのですが、息子は寝ない、一日中泣いているだけではありませんでした。 新生児だというのに、いつも眉間にシワを寄せていました。 なんでいつもそんなに難しい顔をしているんだろうって思っていました。


舌癒着症とは
舌癒着症とか舌小帯短縮症とか言います。
正しくは、“先天性舌癒着症、喉こう頭蓋とうがい・喉頭偏位症こうとうへんいしょう”といいます。それこそなんだか舌を噛みそうな名前ですね。 これは、下あごに付いている舌の位置が先天的に前方に位置しているために、舌がヒキツレ(ひきつった状態)を起こし、舌の後ろにある喉頭蓋(のどの奥にあり、誤って気管に食事などが入り込まないようフタの役目をする部位)や喉頭全体が前上方に引っ張られたり曲がったりした状態のことです。当然、呼吸をつかさどる喉頭がゆがむので、呼吸が制限されてしまいます。 このままの状態でいると、乳児ではおっぱいを飲みたくてもうまく飲めない、よくむせる、途中で飲むのをやめてしまう、などが起こります。その結果、母親は乳腺炎や乳頭亀裂をきたしやすく、ほ乳行為に苦痛を伴ってしまいます。他にも寝つきが悪く、乳児でもいびきや睡眠時無呼吸症をきたす場合もあります。 一方小児では、歯並びや姿勢の悪さ、声が小さい、発音が悪い、協調性に乏しい、落ち着きがない、怒りっぽい(キレやすい)、依存心が強く甘ったれ、いびき、睡眠時無呼吸症、などの症状が現れます。 そして、成人ではこれらの症状に加え、肩こり、腰痛、冷え性、肌荒れ、顎関節症など多岐にわたる症状を呈するようになります。特にいびき、睡眠時無呼吸症は重症例が多く、二次性高血圧や不整脈、糖尿病などを引き起こす原因にもなります。 治療法は手術療法です。舌の付け根の部分を局所麻酔(年齢によっては全身麻酔)でレーザーを用いて切り開き、その奥にある頤(い)舌筋ぜつきん(「おとがいぜつきん」とも言う)を切開します。この筋肉は喉頭開大筋であり、のどを開く筋肉です。この筋肉のヒキツレを切ってあげることで、のどの位置は正しくなり呼吸が楽になるため、さまざまな症状が改善されるというわけです。赤ちゃんから大人まで手術は日帰りで可能です。 日本におけるこの手術のパイオニアである向井診療所の向井將(すすむ)先生によると、乳児のほ乳の改善率は80%以上であり、小児や成人のいびき・睡眠時無呼吸症も70~80%と高率の改善が見られます。さらに、小児では集中して物事に取り組むことができるようになり、学校の成績が上がったとか、コミュニケーションが図られるようになり、友人が増えたなどが、また大人では睡眠が深くなり日々の疲れが取れた、肩こり、腰痛、冷えなどが改善し生き生きしてきた、など手術を受けた方々の喜びの声を多く聞きます。 (引用:舌癒着症とはどんな病気でしょうか ― 舌癒着症学会)上記に加え胎内記憶の研究で有名な池川明先生の記事がありましたので、参考にリンクを貼らせていただきました。 2006年の段階では乳幼児の突然死との関係も研究されていたみたいです。 http://www.30ans.com/memory/backnumber/200607.html
舌癒着症の手術を受けました
大和市の向井診療所を受診し、説明会に夫と参加しました。 この診療所は舌癒着症の手術で有名なところで、全国から患者さんが集まって来ます。 息子が手術を受けた頃は、この手術をしてもらえるのは全国でもここと山口県に一軒あるだけだったと思います。 向井先生の癒着症に対する考え方は口腔外科での器質性に着目されたものとは異なって、性格や姿勢にまで影響を及ぼすという独自のお考えのもので着目点が違いました。 向井先生は、華岡青洲の3代目のご子孫だそうで、裸足に下駄というバンカラな出で立ちで、立ったまま診療をされる先生でした。 息子の顔を見るなり、「ああ、この子は手術した方がいいね」と言われました。 2階で行われた助産師さんが説明する説明会には多くの方が参加されていました。 すっごくすっごく悩みました。 説明会に行ったのが生後2ヶ月の頃。 生後3ヶ月以上だと全身麻酔になる、3ヶ月までなら部分麻酔で済むと言われ、当然部分麻酔希望だったのであと1ヶ月しか猶予がない! おっぱいを飲めなくなるリスクもあるということだったし、そもそもこの手術は本当に必要なのか? 手術したらどんなことが起きるのか・・・インターネットで必死に情報を集め、2週間くらい悩みに悩みました。 私は手術を受けようというほうに気持ちが傾いていましたが、夫も義両親も「病気でもないのに、2ヶ月の子にメスを入れるなんて!」と手術には反対でした。 最終的には、実母に相談したときに「ああ!そんなことがあるの! だから息が止まったのかもしれないね。 ずっと泣いているし、おかしいもん。 それは絶対手術したほうがいいよ!! 手術の時は行ってあげるから、手術しなさい。」と背中を押してもらい、やっと決心出来ました。 手術を受けたのは生後3ヶ月になる前、ぎりぎりのところだったように記憶しています。 手術の日は夫と実母と私と息子、4人で診療所に向かいましたが、私のほうが緊張しておなかが痛くなりました


術後の変化
それからの息子は、手術の効果が著しく、生活が180度変わりました。 心配していた授乳も問題なく継続できましたし、私のおっぱいのトラブルも解消し、あれだけ泣き続けていたのに、そんなに泣かなくなりました。 授乳で目が合わなかったのですが、しっかり目が合うようになりました。 あんなに突っ張っていた身体もふにゃっと柔らかくなり、私の腕の中にふんわりと収まるようになりました。 スーパーの袋のカサッという音で起きることも無くなり、眠りが深くなりました。 90%ちょいだった酸素も98%くらいまで増えましたので、生あくびやチアノーゼも無くなりました。 授乳で空気を飲むことが減ったので、おなかもカエル腹ではなくなりました。 身体がむくんでいたのかどうかわかりませんが、ずっと一重だった息子の目が、手術のあとはくりくり二重になりました。 我が家に平和が訪れました。 他の家族が一緒だとそんなに泣かないのに、私と二人だとあんなに泣いていたのは、母親である私に「早く気付いて!」と息子からのSOSだったのだと思います。 気付かずにずいぶん苦しい思いをさせてしまい、可哀想なことをしました

舌癒着症の手術の賛否
私は今回、もし悩んでいる方がこのブログにたどり着いたらと思い、我が家の体験をお話ししましたが、決して手術を勧めているわけではありません。 我が家にはすっごくいい選択でしたが、実は舌癒着症の手術は賛否両論です。 と言うより、小児科学会、小児外科学会ではいまだに「そんな手術必要ない」というのが総意の見解のようで、どこの小児科に連れて行ってもこの手術には反対されるみたいです。 たぶん未だに変わっていないと思います。 ネットでもずいぶんこの考えを否定されるお医者さんもお見かけします。 私は手術をするという選択をしましたが、もちろん手術しないという選択もあるわけで、お母さんがお子さんのことを第一に考えての選択であれば、どちらが合っていてどちらが間違っているというわけではないと思います。 よく調べてみて、そのうえでお母さんの直感を信じて決めるならば、それがどちらの決断でも正解なのだと思います。 私はと言えばもしあの時に戻ったとしても同じ選択をするし、私のあの時の選択は絶対に間違っていなかったと胸を張って言えますが、同じ時に手術をした友人のお子さんは「全然変化がなかった。しなくてもよかった。」と言っていましたので、後悔のないように選択すればそれが最良の選択だと思います。 息子を助産院で産んだからこそ、舌癒着症のことを教えてもらえて、あの手術のおかげで息子も苦しさから解放され、私の子育ても180度変わったのですから、受診を勧めてくれた助産師さんには感謝しかありません。 それも息子を助産院で産んでよかった理由となりました。 長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございました

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